クズは定時で帰りたい

趣味の時間を捻出するブログ

階段に飽きた日のこと

私の髪はなかなか乾かない。

だから風呂に入らないと頭はもやもやするがたっぷり寝られる。

というわけでこの朝も頭はもやもやしつつ中身はすっきり。

同宿のチャリ青年、職業遍路氏にお餞別でクッキーをあげ、チャリのメンテナンスがあるという二人に見送られて宿を後にした。

 

勝浦町に入ると「ビッグひな祭り」というのぼりがあちこちに立っていた。

民家の前にひな壇が設置されていたり、軽トラの荷台に雛人形が飾られていたりするが

雛人形自体は普通だし、全部の家というわけではないのでビッグ感は薄い。

むしろビッグひな祭りののぼりの方が目立つ。

 

産直市でみかんを買って、頭陀袋にくくりつける。

すぐ先に「ビッグひな祭り」の会場があった。

どうやら「街全体でひな祭りやるぞ」ではなく、本当にビッグなひな祭りがあるそうで。

会場前にいた人に「娘さんなら見ていくとええよ」と言われて入場料のかからない範囲で少し見せてもらった。

倉庫?の天井近くまである巨大なひな壇に大量の雛人形

今日はNHKが来るらしくみんな楽しげに忙しくしていた。

 

ビッグひな祭りの会場を出たあたりでチャリ青年に会った。

「何してたんですか?」

「なんか、ビッグひな祭りというやつを見てきました」

それぞれ再び出発。

 

ほどなくして山に入った。そしてすぐに急坂の階段になる。

坂じゃないからいいかも、と思ったのは最初だけで、最初の階段の中腹ですでにへこたれそうになった。

とにかくこの山は階段が多く、しかも手作り感のある階段なので段差が一定でない。

筋肉をいろいろ使うのがいいみたいな話?

それとも階段作りが流行った?

いや思い出した。谷亮子がトレーニングに使ってたのもこういう階段だったはず。

金メダル何枚も要らないから誰か私を鶴林寺に連れて行って・・・

 

へんろ道はうねる車道をショートカットするので、車道を渡ることもある。

そこに町の掲示板?があり、町の人々の川柳が出ていた。

こういうの風情丸無視で孫溺愛ネタとか出てきて好きなんですよ。

どんな感じの川柳かと見てみると、

 

・せっかくの新芽を鹿が食べつくしてしまった

・捨て畑のみかんにムクドリが群がっている

・年老いてぼけた母が捨て畑を耕している

 

OH...

 

田舎の現実を突きつけられてまた階段を進み、ようやく鶴林寺へ。

山の上の寺って感じでいいですね。からっとして爽やか。

そして三度目のチャリ青年。

どうも急坂でぐねぐねだから歩きよりちょっと大変なようです。チャリも良し悪しだね。

 

次の太龍寺も山。しかも別の山なのでなかなかハードである。

鶴林寺の山を降りる。階段は下りの方がやばい。膝の皿がパコッと取れそうだ・・・。

いやもうとにかく階段は嫌だ。あの丸太で作った階段が嫌だ。

ようやく降り切って、みかんを食べながら宿でも取るかと思いきや圏外。

まあ確かにこんな場所を圏内にする必要はないよね。東屋しかないもの。

 

太龍寺は「西の高野」と言われているらしい。

謎の落ち着き感がある寺だった。高野山もこんななんですかね。

終わりかけの蝋梅がかすかに良い香り。

太龍寺の上りも階段があったので、もう降りたくなくてしばらく散策するフリしてうじうじしていた。

 

しかし宿をなんとかしないと丸太の階段に野宿するはめになるわけで、

目星をつけた宿に向かって降りる。なんだ車道じゃんね。よかった。

 

降りてすぐ、チャリ青年が追いついてきた。

さすがに階段が嫌すぎて超ゆっくり行ったのでもう追い抜かれていると思っていたがやはり車道は長いらしい。

速度はどれくらい出るのか、とか、山降りるのは怖くないのかとかいろいろ話した。

鶴林寺太龍寺は人によってはチャリ担いでへんろ道を行くらしい。

ひとしきり話して、青年は薬王寺近くの善根宿へ行くからと白衣を風で膨らませて坂を降りていった。

 

幸い宿はすぐ入れて、豪勢な料理に舌鼓を打ち、みかんを食べながらテレビを見る。

テレビではみかんとりんごの作付け分布が温暖化で変化しているというのをやっていた。

ちょっとタイムリー。