女は不当に差別される。
というのを感じたことはほぼないが、
ひとつこれがメリットになった話。
飛び込みのトレースを請けていた頃、電話が来た。
「仕事をお願いしたいんだけど、担当者に代わってくれる?」
「ありがとうございます。どのような内容でしょうか?」
「○○の図面なんだけど」
「でしたら私が担当ですのでお伺いしますね」
「担当の人と直接話さないとわかんないと思うから男性に代わって」
「・・・○○の担当が私でございます」
「いやいや、男性の担当者を出してよ。○○のことだから女性だとわかんないから」
困った。
当時の○○部門で窓口をしていたのは女しかいない。
唯一窓口をしていない男性もN4(対面で小学校低学年くらい)の外国人。電話はまず無理。
「大変恐れ入りますが・・・今代われる弊社の○○担当は女性しかおりませんもので」
「いやそれじゃわかんないから。女性じゃ話にならないの。とにかく男性に代わってよ」
わかるわ!と思いつつ仕方がないので隣のAさんに声をかけた。
席は隣でもそもそも彼は土木メインなので建築ですらない。
「すみません、新規で○○なんですけど、男性じゃないとだめだって先方が言うので聞いてもらっていいですか?」
「私ですか?○○のことは全然知らないんですが・・・」
「埒があかないものですみません。聞くだけでいいです」
ということで代わってもらった。
で、私が粘ったのが災いしたのか「ちゃんと男性でね!」と念押しされて電話は終わったらしい。
「なんなんでしょうね?ちゃんと男性で、とか言ってはりました。
私には○○のことなんて1mmもわかれへんのに・・・」
「お手数おかけしました。私が人として雰囲気だめそうな感じだったのかもしれません。データ来たら転送してもらえますか?」
届いた資料を見たら、まあ普通のものだった。当然私にもわかる。
一方でAさんには当然わからない。
「やっぱり私には全然わかりません。躯体だけならわかりますけど」
「・・・どう考えても○○では普通の依頼ですね、というか簡単な方ですよ。
教えましょうか?」
「この1件のためにですか?ちょっとそれは遠慮しときます・・・」
結局どうしたか。
私に引き継いで私が再登場するのはもめそうでめんどくさい。
かといってAさんに教えるのも大変。つーか非効率すぎ。
売上をなあなあにするのは部署がかなり上流の段階で違うからまずい。
(組織上Aさんから○○のオペさんに出すと経理やら営業の数値やらが大混乱)
ということで「Aさんの指名料」を乗せることにした。
Aさんは私より技術力があるので単価が高い。言ってみれば美容室で会計だけエグゼクティブスタイリスト(詳しくは知らんよ)を指名したということだ。
私はメールのやり取りなしでいつもの売り上げがもらえる。
Aさんはメールのやり取りでお金がもらえる。
・・・ボロいなこれ!!!
仕事が終わった時には
「メールだけでお金がもらえるってそれだけ言ったらなんか怪しいっすね」
などと笑い合っていた。
そう考えると持って生まれたものって金になるよなあ・・・